2006年5月28日 Fiction
懇切丁寧に、じっくりと時間をかけて1枚1枚、錆びた作業用ペンチは適切な手順で己に授けられた役割をこなしていく
あたしの指先に張り付いた生爪を黙々と剥離させていく
酷く焦れったい

あんなになってしまったアイツ
アイツをあんなにしてしまったのは
いったい誰だ

夢を見て目を覚ますと、決まってあたしは自室ではない、どこか別の場所にいた
夢の内容を覚えてはいない
夢遊病者を気取ったそいつは、意識を取り戻したあたしに、見知らぬ誰かの傍らに立たせ、そして見知らぬ誰かの手首を握らせていた
裂けるほど強く、強く、その手首にあたしの渇いた唇を押し当てさせていた

寝息を立てる見知らぬアイツは、その何も映しはしない瞳で、果たしてどのような夢を見ようと心に決めて、いまここでこうしているのか

ほとんど枯れかけた下唇にあたしは舌を這わせる
血の味があたしたちの口中一杯に――それは何かを予感させるには十分な効果を持って――拡がった
鋼鉄の扉と壁の僅かな隙間に、あたしは無音のまま身体を、ずるりと滑り込ませた
 
 
 
>変顔
とんでもないアナウンサーが現れたものだ!
一人を除いてどれもが上々の仕上がりを見せる中、あのどこか楽しげな表情が堪らない驚異の作品をヤツは見事仕上げてきやがった!
白目最強
 
 
 
nosi

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