Rain

2006年10月15日 Fiction
君は見定めた
真っ向から一方通行の決まりへと立ち向かった
雪崩れの中を突き進む君は
何度も何度も何度でも倒れこみ
ひどく苦しげだった

  それは歓声を上げていた

誰にとってなら相応しい
相応しいとか相応しくないとか
耳を澄ませても聴こえてくるものは
都合の悪いものを隠したい
目と耳を塞がれた これは
あたしとあたしたちの 盲目の
呟き

  それは産声を上げているつもりだった

耳元を何かが走り抜ける
掌を突き破ってシューシューいう鳴き声が聴こえる
これまで視界に現れることなんてなかったのに
微かなまつげの隙間は薄ぼんやりとしていて
湿気った縁の下にいる気分になった

あの娘は「掴まえて」なんて
相応しくないことを懇願するものだから

それはまた蓋をした
鍵をシューシューいう何かにくくりつけた

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索