雨の匂い 生乾き
お出迎えしてくれた
ちっぽけな喜び

一度も雨に出くわさずに
なんとなく得した気分

出来立てのアスファルトから立ち昇る
据えた名残がいとおしい
 
 
ふと消えて

ふと消えて
 
 
僕の歩くところと鉄格子によって隔離されている
見えないけど見える動き回る音

もういちど深呼吸したくなる匂いと共に
僕とそれに誰かのために
アスファルトはまだ柔らかいまま
僕はいつものこの道が少しだけ嫌いになっていた

ISBN:4150115893 文庫 井辻 朱美 早川書房 ¥966

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索