インドア

2009年3月5日 Fiction
 
目を閉じたそんなことくらいで、確かにここに浮かんでいたはずの光景は失せた。そそくさと、雪がぱらつきながらそうする程度の長さだった。
形のないものに形を与える力は、僕にもある。行使するタイミングが難しい。すべてを網羅すればよい。無理だ。

空間のあちこちから手が伸びている。彼や彼女、もしくは雄雌の差し出す手中には、この世のありとあらゆる秘密が握られている。大暴露大会だ。
一つ一つは拾っているはずなんだ。誰とも知れない。あるいは手渡している。手と手同士キャッチボールの要領で行き来する。

何かが扉を叩いた。

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