{{生類を憐れむ生類}}
2009年9月12日 Fictionあのタイミングで目の前に洞窟が現れた時点で、この展開は十分に予想できるものだった。選択肢がほかにもあれば、まず初めに避けるべき選択肢を無二の妙案として採用しなければならなかった、この不幸について、弁解が可能なのであれば是非ともさせていただきたいところではある。が、実際のところ誰が悪いわけでもないだろうに。この薄寒な状況を招いた罪悪を、たとえば一番先頭で洞窟に入った者の責として処理したい心持も、断固として納得はいかない、いかないが、なかなかどうして理にかなったものに聞こえてしまうことも、また事実なのである。
お天道様と横穴の境界に足を踏み入れた瞬間に前触れもなく訪れる、圧倒的暗闇にも比肩するほどに、奥深く暗いこの心境は、説得もとい、苦しいいいわけが通用するような相手であったのであれば、と、口にすれば現実を変えることの出来る伝説の箱の存在を期待させたが、好転の望みは薄――いや皆無であろう。
兎死狐悲が文字通りの意味で、獣にまで適用される道理でないことをただ祈るのみである。
お天道様と横穴の境界に足を踏み入れた瞬間に前触れもなく訪れる、圧倒的暗闇にも比肩するほどに、奥深く暗いこの心境は、説得もとい、苦しいいいわけが通用するような相手であったのであれば、と、口にすれば現実を変えることの出来る伝説の箱の存在を期待させたが、好転の望みは薄――いや皆無であろう。
兎死狐悲が文字通りの意味で、獣にまで適用される道理でないことをただ祈るのみである。
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