これもウェスタの加護か。爪の先にさす油にさえ事欠く、こそぎのうえこそぎを尽くした、かような乏しきにも耐え、憎み親しむまま雅語の流れにその身をおかんとした男。げに一度は破滅した身代も、いまや再生を果たした、この男の足を近き路へと導いたのは女。女だ。戒律にこうべを垂れる女だ。しかし反抗する女だ。
次なる破滅を待望してやまぬ、そんな者のおること、いかにも、このひとの承知するところであった。
次なる破滅を待望してやまぬ、そんな者のおること、いかにも、このひとの承知するところであった。
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